53号

鳩の声

八幡さま便り表紙

令和二年を迎えることとなり、先ずもって天皇陛下の弥栄と御代のご安寧を謹んでご祈念申し上げます。

昨年は、年度初めより自然災害が多く発生した年でした。特に観測史上初めての大雨被害をもたらした台風19号等を始め、全国各地で自然災害により被災されました方々には衷心よりお見舞い申し上げます。

さて、令和の御代が始まり半年を過ぎ、令和の元号にも慣れた今日この頃ですが、まだ一年は経っていないことに驚きもあります。今年は東京オリンピックも56年ぶりに我が国で開催され、日本書紀が出来ましてからちょうど1300年にあたり、十二支の始まりの「子年」に戻りました。

新しい時代の息吹は、ここ大崎八幡宮の境内整備事業においても取り組みがなされます。各時代の変遷を長い歴史とともに刻んで後世に残し、つないで行くことは先人の方々がずっと行って来られたことでありました。

そうした数多くの願いを受けて大崎八幡宮は守られ、今日あるものとなっております。境内には「奉祝 御大典記念」という提灯が掲揚されており、この新しい御代への祝意の雰囲気を境内にもたらし、ご参拝の皆様とも分かち合うことができましたら幸いです。

八幡宮では、御大典記念事業として後世100年を見据えまして「鎮守の杜の育林事業」も計画的に継続され、令和元年には「漆の杜」の植樹作業も始まりました。御鎮座400年を越える国宝の御社殿を守り、八幡様の信仰を保持し、仙台藩祖伊達政宗公の御遺志を偲び仙台総鎮守として護持に努めることは私たちの使命ですが、氏子崇敬者ご関係者皆さまのお力添えも欠かせないことは改めて申し上げるまでもございません。何卒趣旨ご理解頂きまして、ご賛同の上ご奉賛頂きまして御大典の境内整備事業が完遂いたしました暁には、また心地よい八幡宮を清々しくお参りできますよう願っております。

令和の御代が足音を立てて始まりました。この時代を歩んで行くのは私たちで、この時代をより良きものにして行けるのも私たちであります。祝意と奉祝の機運に誘われながら、明るく、賑やかな、住みよい時代を是非とも築き上げて行きたいものです。

八幡宮Q&A

Q:自宅(会社)に神棚を設置(お祀り)しようと考えていますが、神様を迎えるにあたり、なにか心構えはありますか?


A:昨今インターネット等の普及により、様々な情報を気軽に検索でき、神棚のことも調べると丁寧に説明したサイトも年々増えております。しかし、設置の手順や必要な物、場所の条件が説明されていても、神棚の心構えはなかなか見受けられません。
そもそも「神棚を設置する」とは、神様と祖先(先祖)をお祀りすることであり、日々お守りいただいている感謝を捧げる場所となります。「神棚に神様の御札をお祀りすることが、祖先とどうして関係あるのか」と思う方も多いと思います。
では、神棚をお祀りすることが祖先を大切にすることに繋がるのか。約六十年前に神社本庁が制定した「敬神生活の綱領」を参考にご説明したいと思います。

『敬神生活の綱領を参考に神棚を祀る心構え』
さて、昭和三十一年五月二十三日、神社本庁設立十周年記念大会において宣言された「敬神生活の綱領」は、神社信仰における実践生活の規範を示したものです。少々難読ではありますが、今回はその一部を紹介いたします。
この綱領の条文の中に「神の恵みと祖先の恩とに感謝し、明き清きまことを以って祭祀にいそしむこと」とあります。前半の「神の恵み」とは古事記によると、この世が始まる前に現れた「天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神(あめのみなかぬしのかみ、たかみむすびのかみ、かみむすびのかみ)」三柱の神々が、この世をお造りになった事に倣い、天地自然の神々からのお恵み全般を表しています。
続く「祖先の恩」とは先の三柱の神々の後に、この世の国土・人間・万物をお造りになった伊邪那岐神(いざなぎのかみ)と伊邪那美神(いざなみのかみ)の二柱から始まる祖先神すべてを指します。その中心的な存在は、日本人の心の故郷「伊勢神宮」に鎮まります天照大御神であり、「天照皇大神宮」と記された御神札(神宮大麻)を神棚にお祀りすることが、祖先の恩に感謝する形と言っています。
後半の「明き清き」とは清明、清浄を表し、「まことを以って」と続くと、心の清い人は言動を信用できることを指します。神社に係わる人々は常に神様へ失礼にならぬように自覚する必要があります。結びの「祭祀にいそしむこと」の中にある祭祀とは神社で斎行されるお祭りはもとより、各々の家庭にある神棚に参拝するところまで含まれております。「いそしむ」という言葉は様々な意味を持ちますが、この場合は全身全霊を捧げ、真剣な祈りをこめて神様に日々の感謝を忘れない心を持つ大切さを示しています。
ご自宅や会社に神棚を設置することとは、神様にお出でになっていただき、日々守っていただくことへの感謝の気持ちを持つところから始まります。祖先神の中心であります天照大御神の御神札である「神宮大麻」をはじめ、ご自身の住む地域の守り神となる氏神様、そして個人的に崇敬する神様を神棚にお迎えして、多忙な日々の中に「心の拠り所」という場所を身近に設けてみてはいかがでしょうか。大崎八幡宮では壁に掛けられる簡易的な神棚から棚の上に置く大きな宮型まで用意しております。思い立ったら吉日とは申しますが、ご検討の際はご来社をお待ちしております。