神々は、誠を持ち、信仰ある人々を必ずお守り下さり、祖先も見えざる力を添えて、お助け下さるものであって、これによって正しい人生を作り上げて行くことができる、との信仰に立ち、誠の心をささげ、正しい道を踏み行うことが「まつり」です。

古来、神は人の敬によって威を増し、人は神の徳によって運を添う、と言われます。
神社本庁(伊勢の神宮を本宗と仰ぐ全国八万数千神社の包括団体)は、敬神尊皇の教学を興し、その実践綱領とbして、敬神生活の綱領を掲げております。

一、神の恵みと祖先の恩とに感謝し、明き清きまことを以て祭祀にいそしむこと。

一、世のため人のために奉仕し、神のみこともちとして世をつくり固め成すこと。

一、大御心(おおみごころ)をいただきてむつび和らぎ、国の隆昌と世界の共存共栄とを祈ること。


神社の祭祀は、大祭(例祭・祈年祭(きねんさい)・新嘗祭(にいなめさい)・式年祭等)、中祭(歳旦歳・元始祭・紀元祭・神嘗祭(かんなめさい)当日祭・明治祭・天長祭 等)、その他を小祭とし、神社に特別の由緒のある祭祀は大祭として奉仕されます。

例祭(れいさい)

恒例によって一年に一回(護国神社については二回の場合もある)執行される最も重要な祭祀。多くは祭神または神社にとって特にゆかりの深い日をもってあてられます。

祈年祭(きねんさい・としごいのまつり)

古来毎年二月に年穀の豊穣とともに、皇室の御隆昌と国家万民の安泰を祈る祭儀で、由来する所極めて古い。明治以降は、二月十七日をもって祭日とし、今日に及んでいます。この祭の主旨は、ただに年穀の豊穣にとどまらず、あらゆる産業の発展、国力の充実を祈請するものです。

新嘗祭(しんじょうさい・にいなめさい)

祈年祭と共に、極めて古くから行われてきた祭祀。宮中では、最も重要な祭祀とされ、陛下が新穀による御食御酒(みけみき)を天神地祇(てんじんちぎ)に奉って御親(おんみづか)らも共にこれをきこしめされます。
十一月二十三日より翌二十四日にわたって行われますが、全国神社では、神恩奉謝の意をこめて、皇室、国家国民の平和と繁栄を祈るため十一月二十三日に祭儀が執行われます。

式年祭(しきねんさい)

一定の年を期し、定例の式によって執行われる大祭で、鎮座日または祭神の年祭等神社にとって特に由緒深い日に基くものが多く、三年、五年、十年、二十年、三十年、四十年、五十年、百年、及び爾後毎百年を普通とします。ただし、神社によっては故実に基き六年、十二年、六十年毎等に行われるところもあります。

歳旦祭(さいたんさい)

新年を祝い、御賀(みほぎ)の寿詞(よごと)を奏し、皇室の弥栄(いやさか)と国運の隆昌とを祈念し、併せて氏子崇敬者並びに社会の繁栄と平和とを祈ります。

元始祭(げんしさい)

歳首にあたり、天津日嗣(あまつひつぎ)の高御座(たかみくら)の大元を言寿(ことほ)ぎ奉り、宝祚(ほうそ)の無窮と国運の隆昌とを祈ります。

紀元祭(きげんさい)

神武天皇建国の鴻業を仰ぎ、民族の自覚と、愛国の意識を新たにし、もって皇運の隆昌と国威の発展とを祈ります。

天長祭(てんちょうさい)

天津日嗣(あまつひつぎ)と天の下しろしめす天皇のいよいよ御寿を重ねたまう御誕生日にあたって、国民が慶祝の意を表し、神祇の恩頼(みたまのふゆ)を感謝し、聖寿の万歳と大御代の長久とを祈ります。

神嘗祭当日祭(かんなめさいとうじつさい)

本宗(ほんそう)と仰ぐ伊勢の神宮の神嘗祭(かんなめさい)の当日、全国神社において奉祝の意を表します。

明治祭(めいじさい)

わが国を近代国家として発展せしめられた明治天皇の聖徳大業を景仰(けいぎょう)し、皇威の隆昌と国運の発展とを祈り、明治維新の大精神を振作して民族の自覚を新たにし、ますます文化を進め産業を興し、永遠の平和繁栄をこい願います。
これらの祭祀は、神社のまつりのうちで、全国に共通して行われるものですが、このほか神社によって数多くのまつりが行われ、特殊な祭典や、臨時の祭典も執り行なわれています。