人がある年齢に達すると、これを厄年だといって厄ばらいをする風習が古くからあります。厄年という考え方はもともと陰陽道から出た説で、平安時代にはすでに盛んになっていました。公家の社会で盛んであったことは源氏物語「若菜」の巻の中に紫の上が三十七歳の厄年になったので加持祈祷をし物忌みをしたと見えていることでもわかります。

厄祓いの方法には社寺に参って祈願する例が多く、ことに神社では厄除けの祈願祭をしてくれます。この厄祓い、わが国の古来からのしきたりである大祓式などに似通っている点が興味深いところです。

厄年は、男子の二十五歳、四十二歳、六十一歳、女子の十九歳、三十三歳、三十七歳を指しているのが普通です。特に男の四十二歳と女の三十三歳は、厄でも一生の大厄とされています。(年令は数え年)

この年には、それぞれ前厄・本厄・後厄とあって、前後三年間をつつしむものとされました。このほか地方によって厄年とされている年令が多少異なっていて、男女とも七歳と十三歳、また女の十九歳と三十七歳、男の二十五歳・四十二歳・六十一歳・七十七歳・八十八歳などがあります。

しかしこれらは厄年であるとともに"年祝い"の年にも当っているようです。その祝いについては、正月に神社に参って厄祓いをしてもらうと、そのことによって厄が転じて福となるという考え方に変わります。神社には「四十二歳厄男厄祓記念」などと染め抜いた幕や、わざわざ名前を彫刻した太鼓などを奉納する例も見受けられます。