■趣意書
大崎八幡宮は、仙台藩祖伊達政宗公、仙台開府の後、直ちに領内鎮護の要として仙台城北西の現在の地に御造営、4ヶ年の歳月をかけて慶長12年(1607年)8月12日遷座祭が執り行われました。
伊達政宗公は仙台城築城にあたり豊臣家に仕えた当代随一の工匠を招聘し、その任に当たらせましたが、大崎八幡宮もこれらの工匠の手により御造営され、豪壮にして華麗な桃山建築の特色を遺憾なく発揮し、仙台62万石の総鎮守として伊達家の威風と今は無き仙台城大広間の絢爛たる息吹とを現代に伝え、国内はもとより海外からも仙台を訪れる多くの方々に仙台城址、瑞鳳殿と共に杜の都仙台の印象に厚みと重層感とを加えております。
この大崎八幡宮は、伊達政宗公より藩制時代を通じ代々の篤い尊崇を受け、明治38年安土桃山時代の遺風を伝える現存最古の権現造りの遺構として特別保護建造物の指定を受け、大正8年には一部補修工事が執り行われました。
その後、文化財保護法の制定により昭和27年国宝建造物として指定を受け、数度の屋根葺き替え工事を行い、昭和41年より社殿内部彩色の剥落止め及び外観の漆塗り・胡粉彩色の総塗り替え工事等を行い、その神厳の護持に努めてまいりました。
しかしながら、仙台の歴史とともに御鎮座以来390余年の歳月に耐えてまいりました御社殿も、近年頓に損傷が著しく、躯体部分の柱が全体的に北東方向に傾き、その影響により屋根を支える組物(斗きょう)、垂木などに損傷が表れ、御創建以来の内部色彩についても剥落が著しくその輪郭もおぼつかないものも見受けられるようになり、去る平成8年より社殿の損傷状況を調査してまいりました結果「基礎、軸部、軒廻り、屋根に沈下・傾斜・虫害・垂下・破損等が見られ、早急に保存修理を実施し、創建当初の姿を守り伝えることが必要であり、内部彩色についても剥落止めを施し保存することが急務である」との結論を得、更に「再び、昭和53年の宮城県沖地震が発生すれば社殿の倒壊も想定される状況」との指摘がなされました。
以上のことから、大崎八幡宮では、ことの重大性を鑑み仙台市民はもとより我が国が誇る文化財の保存修理にあたるべく準備を進め、関係官庁とも協議を重ねてまいりましたところ、平成11年度より5ヶ年程の予定で国庫補助事業として保存修理工事に着手される運びとなりました。
重ねて、大崎八幡宮は、平成18年には御鎮座以来四百年の佳年を迎えることとなり、「平成の大修理」に併せて仙台空港の国際化に伴い海外からも大勢の参拝者が足を運ぶ仙台の名所として国宝の御社殿に見合う境内環境を整備することは、独り大崎八幡宮奉斎のためのみならず安土桃山文化の遺風を今に伝える貴重な文化財の護持に微意を投じつつ、仙台開府四百年に当り、更に五百年、一千年後の後世に藩祖伊達政宗公の偉業を継承し、御鎮祭の意義の解明に資することともなり、平成の御世の我々の為すべきこととしてここに奉賛会を結成するものであります。
何卒、上記趣旨をご理解ご賛同頂きたく宜しくお願い申し上げます。