国宝 大崎八幡宮
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八幡さま便り

■26号

鳩の声

【写真】八幡さま便り22号   早いもので今年も間もなく半年が過ぎようとしております。
 6月といえば梅雨に紫陽花。少しジメジメした暗いイメージもありますが、目を閉じて想像すると、滴る雫に赤紫色や水色、白の小さく可憐な花たち。四季のある日本ならではの光景が瞼に浮かびます。
 ご承知とは思いますが、紫陽花は小花が集まって、丸く大きな花束のように見えますが花びらの様に見えるものは、実はがく片と言われるもので、花弁、雄しべ、雌しべは退化してしまっています。驚きですね!
 ところで西洋では6月に結婚する花嫁は女神様からの祝福を受け、幸せな結婚生活をおくられると伝えられており、昔から縁起の良い月と言われているそうです。そういった外国の風習が日本に伝わり、この月に結婚式を挙げられる方も多くなってきました。
 当宮においても、保存修理工事の竣功に伴い御社殿での結婚式を挙げられる方が大分増えてきております。  神前での結婚式の多くは、新郎は羽織・袴、新婦は内掛を着て式に臨まれますが、その中で「花嫁さんはなぜ『綿帽子』をつけるの?」と子供から聞かれた事があります。所謂「角隠し」のことです。
 日本では古くは、上層社会の女性は外出の時に素顔を見せるということはしませんでした。平安時代には、女性用の菅の笠の縁に布を垂らした「市女笠」をよく被りました。また鎌倉時代には衣を頭から被る「被衣」と呼ばれる姿となり、江戸時代になると武家の間で「揚帽子」が被られる様になりました。そして明治時代に入り、身分制度の廃止と共にその「衣装」が婚礼にも取り入られ、一般にも広まりこの「揚帽子」を簡略化したものを「角隠し」と呼ばれるようになりました。この呼称は、嫁いだ後の女性は自己主張を慎むべきという当時の風習からきていますが、本来の意味は「婚姻前の女性は、男性に素顔を見せない」という習慣から生れたもので、三三九度の儀が終わるまでは角隠しは取らず、婚姻の儀が成立してはじめて素顔を見せておりました。
 人生の晴舞台を艶やかな着物に身を包み、修復工事を終え、装いも新たに蘇った「国宝」の御社殿での神前結婚式に、皆さんとても幸せな笑顔でご参列頂いております。
 その和やかな6月が終わりを告げると、愈々奉祝大祭に向けて熱い夏の始まりとなります。藩祖伊達政宗公による御創建以来、本年が御鎮座四百年という記念の年を迎え、今秋には様々な奉祝行事を予定しております。  8月12日には八幡宮の子鳩等が日頃より稽古に励んできた雅楽や舞を大神様にご奉奏する御鎮座記念祭・雅楽の夕べの齋行。
 そして9月に入ると、1日には大石段上の三之鳥居前においての「鳥居祭」に始まり、14日〜18日まで5日間かけて、御鎮座四百年記念奉祝大祭の齋行など数々の記念行事が行われる予定で、着々と諸準備が進められているところです。
 およそ10年をかけて進めてまいりました御鎮座四百年記念事業も本年最終年を迎えました。この記念の御年を氏子・崇敬者の皆様方とご一緒にお祝いが出来る事を楽しみにしています。と、お宮の鳩は日々、神明奉仕に励んでいます。


八幡宮Q&A

Q:今年で御鎮座四百年を迎え、秋には奉祝大祭を行うそうですが、今後の行事予定について教えてください。

A:当宮では例年九月の例大祭は十四・十五日の二日間のお祭りですが、今年は御鎮座四百年記念の年にあたり、九月十四日〜十八日までの五日間を『御鎮座四百年記念奉祝大祭』期間として種々の祭典行事の齋行を予定しております。
 行事予定は下記の通りでございますが、十四日には御膳上げと呼ばれる献饌式の齋行。夕刻よりは宮城県指定無形民俗芸能文化財の「能神楽」の奉奏。十五・十六日には御鎮座四百年記念奉祝大祭の齋行。そして恒例の「流鏑馬神事」。また毎年八月十二日に齋行の御鎮座記念祭「雅楽の夕べ」にてご出演頂いております「伶楽舎」の方々による「舞楽」の奉奏。十七日には「神幸祭」。また、夕刻より「神賑演芸大会」の開催。十八日には八幡宮のお膝元、国道四十八号線を埋め尽くす「雀踊りの演舞」。など様々な行事を挙行すべく準備を進めております。
 既にご承知の事とは存じますが、当宮では「御鎮座四百年記念事業」の中心として平成十二年より始まりました「御社殿保存修理工事」もお蔭をもちまして一昨年秋に竣功を迎え、同じく御社殿の東側に祈願控所・授与所の「祭儀棟」を新築し、続く十月から十一月の一ヶ月間には装いも新たに蘇った御社殿の「特別公開」を実施し、全国津々浦々から約六万二千人の参拝者が訪れ、その賑わいも冷めやらぬ中、十一月十三日には浄暗の中、仮殿より御本殿に御神体をお遷しする「正遷座祭」を約四百人のご参列者が見守る中で齋行致しました。  引き続き翌平成十七年には「長床」(重要文化財)の「屋根葺替工事」に着手し六月に竣功。同年十一月には北参道に青森ヒバの「鳥居」を新たに建立致しました。
 平成十八年には参拝者の増加に伴いこれに対応する授与所として、また展示物掲示場として活用する為に「西廻廊」の新築、御社殿周囲の「透塀」の新設などの事業を行いました。
 そして愈々本年九月には前述の通り、記念事業の集大成ともいうべき『御鎮座四百年記念奉祝大祭』を迎え、凡そ十年がかりの大事業を終了する予定です。
 今後共皆様方のご支援、ご協力を頂きたく併せてお願い申し上げます。

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