国宝 大崎八幡宮
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八幡さま便り

■25号

鳩の声

【写真】八幡さま便り22号    通ひこし枕に虫の声絶えて
         嵐に秋の暮ぞ聞こゆる  嘉陽門院越前        
 仙台の秋はまことに短く、晩秋の一夜の激しい嵐は鎮守の杜の木々を揺らし、落葉のみを形見に残して静かに去っていきます。
 明くる朝、境内を掃き清めていると、すっかり寂しくなった梢の間を遠く仙山線の汽笛の澄んだ音色が響き渡り、冷たい朝風の訪れと共に今年も仙台に冬の来たことを告げます。
 来たる平成18年は当大崎八幡宮が慶長12年、仙台藩祖伊達政宗公により御鎮座されてから400年を迎えるという佳年にあたり、年間を通し種々の御奉祝行事が予定されております。
 巷においても、今秋行われた宮城県知事選・仙台市長選を経て、共に長らく続いたひとつの時代が終わりを告げ、新たな地域行政が幕を開けようとしておりますが、政宗公もまた、「仙台藩」という当時屈指の大きな地域行政を任され、優れた実績を残された施政者でありました。
 政宗公の施政者としての的確な手腕は多様な面で発揮されておりますが、特に他の地方大名とは一線を画していたのが「文化の庇護者」という一面です。  当時、日本は長らく続いた戦国時代がようやく終焉を迎え、織田信長や豊臣秀吉といった「天下人」の庇護のもと、充実した民力が花開き「安土桃山文化」という日本史上最も華やかな時代が現出しておりましたが、そんな中で地方大名としてほとんど唯一、この「天下人としての事業」に足を踏み入れたのが他ならぬ政宗公だったのです。
 政宗公は仙台開府にあたり、当代一流と謳われた梅村三十郎頼次、刑部左衛門国次、雅楽助吉定、佐久間(狩野)左京といった名匠達を政治文化の中心地たる畿内より召し寄せ、大崎八幡宮はもとより仙台城や松島瑞巌寺をはじめとする大規模な造営事業を行い、桃山文化の一翼を担うに充分な足跡を残されました。
 これは「天下人」の威信を懸けて信長が築いた安土城、また秀吉による大坂城、聚楽第といった時代を代表する大建築に比しても遜色のない一級の価値があるもので、当時においてそうした「偉業」を行いうる、文化の庇護者たる資格は本来「天下人」のみに許されるべきものでありました。  同じ中世、遠く西洋においても後に「ルネサンス」と呼ばれる、文化芸術の最も華やかな時代が幕を開けておりましたが、それもイタリア・フィレンツェの領主であったメディチ家がミケランジュロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェリといった芸術家達を庇護し、華やかな活躍の場を与えたことに始まったのです。
 日本史上空前の華やぎを誇った「安土桃山文化」も、政宗公が信長・秀吉と並び「天下人」の壮大な心意気をもって名匠達に活躍の場を与え、文化芸術の庇護者として力を尽くしたことにより、大輪の花を咲かせることが出来たのです。
 現代は「文化の冬」と呼ばれて久しい時代ですが、そんな季節であればこそ、私達には至高の文化を次代に守り伝える使命があります。

    きりぎりす夜寒に秋のなるままに
               弱るか声の遠ざかりゆく   西行法師

 たとえ「文化の冬」にあっても、それを守り続ける「声」が弱まることのない様、私達はもちろん、新たな地域行政にあっても政宗公をはじめとする先人に倣い「地域が世界に誇る伝統文化」への暖かいまなざしを期待したいものです。


八幡宮Q&A

Q:平成十八年は御鎮座四百年を迎えますが、今後の事業予定について教えて下さい。

A: 当宮では「御鎮座四百年記念事業」を推進して参りましたが、これまでに「御社殿保存修理工事」を中心に、「長床屋根葺替工事」等主要事業について皆様方の御協賛のもと、無事終了しております。
 現在は境内環境の整備が進められており、今秋に北参道入口に新たな鳥居が設置され、また西廻廊及び透塀の設置に着手致しております。
 北参道の鳥居につきましては、八幡宮北側に位置する国見地域をはじめとする氏子区域からの強い要望と、近年増加しつつある駐車場からのご参拝に対応すべく、境内整備の一環として設置されたもので、素材には樹齢三百年余の青森ヒバが用いられ、高さ七メートル、幅八・四メートルという宮城県内においては最大級の明神鳥居であり、既に今秋までに設置作業を終えております。
 また、西廻廊の新築につきましては、御社殿保存修理工事完工後、通年に亙り参拝者が増加の傾向にあり、特に初詣松焚祭期間には例年以上に多数の参拝者が予想される事から、これに対応する授与所として、また祭典時における展示物掲示場として活用する為、御社殿の西側に設置されるものです。 透塀の設置につきましては、現在の玉垣(昭和四十三年設置のコンクリート製)が老朽化により、表面塗装の剥落や一部に折損が認められることから、これを撤去した上で新たに木造の透塀が設置されるもので、基礎部には周囲との調和を図るべく植栽が施される予定であり、共に平成十八年春の竣工を予定しております。
 この外、平成十八年九月の奉祝記念大祭を始め、諸行事を挙行すべく準備が進められておりますが、行事予定の詳細につきましては、決定次第順次、皆様にお知らせ致したく存じます。 当宮におきましては今後共、杜の都の総鎮守として御神徳の昂揚と御神域の護持に尽力して参る所存でございますので、引続きご理解ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。 尚、当宮では現在、北参道鳥居の扁額(社号額)奉納者を受付致しております。詳しくは社務所までお問合せ下さい。

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