国宝 大崎八幡宮
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八幡さま便り

■04号

鳩の声

【写真】八幡さま便り04号今年も早いもので境内は新緑から深い緑へと変化し、十年余り前に植えた石段両側の榊の若葉も大分成長してきたが、間もなく恒例の夏越の大祓を迎える頃となった。
そんな中、毎朝職員はご社殿で参拝後、竹箒を手に、別に声を掛け合うでもないが、それぞれに広い境内に分散し清掃を始める。竹箒で集めるのは樹齢数百年の杉葉や防火樹として植栽されたものか、白樫の葉などである。
二人の新人巫女さんも額の汗を拭きながら、一生懸命清掃に励むのである。もう半年もすれば、清掃も神社において神まつりのための心構えである「祓い」である事を知るのであろう。
さて、仙台地方には古来より民謡がよく発達し、婚礼の披露宴など、お祝い事には、欠かせないものとなっているが、中でもよく愛唱されるのが「さんさ時雨」である。
この民謡の歴史には二、三の説があるようだが、仙台地方に伝えられているものとしては、今より四百年程前の天正十七年、藩祖政宗公が盤悌山の麓の摺上原で、会津の葦名軍勢と相対した時、重臣の一人、猛将として知られる、伊達五郎重宗(成実)が露営のとき「音もせで茅野の夜の時雨来て袖にさんさとぬれかかるらむ」と詠んだのを、政宗公は非常に感嘆し「さんさ時雨が茅野の雨か、音もせで降りかかる……」と俗謡に作り替え、凱旋の折、陣中の将士に歌わせたのが始まりと言う。民謡「さんさ時雨」もこのような歴史的物語があるのであった。
今春新緑の頃、仙台市博物館で「書に見る伊達政宗」その人と時代、という催し物があった。一見して、政宗公は伝統的書法を早くから身に付け、多くの書状や和歌、漢詩などを残しており、正に文武両道の達人であった事が偲ばれた。
その中で、お城が完成し、大崎八幡神社も御造営なった慶長十三年以後、仙台開府を祝い、末永い繁栄を祈念し詠んだ「入りそめて国ゆたかなるみぎりとや、千代とかぎらじせんだいのまつ」という歌が印象的であった。
今後も、杜の都仙台の末永い繁栄を祈念したいものである。 (平成7年6月)

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