51号

鳩の声

八幡さま便り表紙

平成という元号が、平成31年4月30日を以て改元され、翌日5月1日から新しい元号が始まります。この御代変わりは極めて大きなことで、様々な意味から新しい時代の節目の年となることだけは拝察されます。

さて、平成30年は戊戌(つちのえ いぬ)歳でしたが、平成31年は己亥(つちのと ゐ)歳となります。いわゆる十二支に「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」の十干(じゅっかん)を組み合わせ、「十干十二支」(10と12)の最小公倍数で「六十干支」となります。いわゆる還暦はこれが一回りして最初に戻ることから、そのお祝いの際には生まれ変わりの意味で赤いちゃんちゃんこを着る習わしとなり、すなわち暦上では60年が基本の一区切りとなっています。例えば甲子(きのえね)の年が甲子園の出来た年であったり(宮城県では多賀城建設が碑文によると甲子の歳です)、辛亥革命(かのとゐ)、戊辰戦争(つちのえたつ)、壬申の乱(みずのえさる)など歴史上の戦の名前などで残されている暦の意味が身近になります。

このように元号や暦、数字により名付けて区切り当てはめ、そこから事象を予想して人々の生活や社会が成り立っています。日本最古の和歌集「万葉集」の中で『言霊の幸はふ国と語り継ぎ』(巻5-894山上憶良より)と詠われているように日本の元号は、その時代に願いや予祝の意味を込めて名付けることで、言葉に精霊が宿るとされている「言霊」として常にその時代を良きものとするべく定められてきました。

また、目に見えない神は名付けられずとも「サムシンググレート」(稲盛和夫氏京セラ(株)名誉会長の言葉)と呼ばれるように広く海外の方にも分かりやすく理解されることが多いようです。『古事記伝』を著した本居宣長は「尋常(よのつね)ならず すぐれたる徳のありて可畏(かしこ)き物を迦微(かみ)とは云ふなり」と表現しています。

祈ること然り、また目に見えないものは、実はとてもたくさん存在しますが、「目に見えぬ神に向かひて恥ぢざるは人の心のまことなりけり」と詠まれた明治天皇御製に立ち帰って、祈る(意乗る)ことで、祈られるものが「神実(かみざね)」となり、その原点かつ最たるお宮にて、多くの人々が祈られ、日本と世界の多くの人々に幸せ(仕合わせ)が訪れますよう、切に祈念いたす次第でございます。

結びに、大崎八幡宮は仙台藩祖伊達政宗公の命により青葉城(仙台城)の北西方角に仙台の総鎮守として創建されました。北西は戌亥(いぬゐ)の方角とされており、戌年・亥年生まれの方から篤い信仰をいただいております。昨年、今年はまさにその年回りです。平成31年己亥歳の「己」(き)はもともと「紀」を語源とし、「草木が十分に繁茂して盛大となり、かつその条理の整然となったさま」を表しております。畏くも天皇陛下の御譲位御即位が恙無く執り行われ、天下泰平無事と地域経済繁栄、そして未だ終えてはいない東日本大震災の復興、また各地で発生しております自然災害被災地の復興が「紀」のごとく成熟する年となりますよう、神職はもちろん皆様で八幡様にお祈りされてはいかがでしょうか。新しく大崎八幡宮名物となりました矮鶏(チャボ)共々、皆様の参拝を心よりお待ちしております。

八幡宮Q&A

はじめに「今回の内容に関して明確な表現を避けております。ご理解いただければ幸いです」

Q:最近よく耳にする「御代替わり」とは何でしょうか?


A:畏れ多くも「御代」とは天皇陛下の御在位期間を表します。「御代」が「替わる」という状況を説明する行為は憚られますので、「時代の節目」とお考えいただければと思います。
また、皇室の歴史は神話まで遡り、今上陛下で百二十五代となられます。
それは世界の中でも比類なきことであり、日本を象徴する存在として「御代替わり」は国を挙げて粛々と行われてきました。つまり、日本という国が日本として存在し得る大切なことだと思います。



Q:「御代替わり」によって 私たちの生活に影響する ことはありますか?


A:私たちの生活にもっとも影響があることは「元号の改元」です。元号とは日本を含むアジア諸国にみられる制度であり、明治、大正、昭和、平成などの日本の元号は六百四十五年の「大化」より始まり、平成までの間に二百四十七の元号があります。元号が改元される時期に関しては明治時代に「一世一元の制」が定められ、戦後には「元号法」が公布・施行されたため、明治維新より以前は慶事や凶事のたびに改元された元号が御代ごとに改元されるようになりました。官公庁で働く方やカレンダー業者の方など、職業柄元号を多用する方々には影響が予想されますが、日本国民一人一人が「御代替わり」を意識することが大切だと思います。



Q:今後、大崎八幡宮で何か特別なお祭りや行事はありますか?


A:来年は「奉祝天皇陛下御即位三十周年」をはじめ、「御代替わり」を含む奉祝記念事業等を神社界全体で計画しています。大崎八幡宮も現在様々な事業を思案している最中でございますが、決まり次第ホームページや境内各所にてお知らせ致します。国を挙げての奉祝記念となる年でございますゆえ、少しでも八幡宮へご参拝頂ければ幸いでございます。