47号

鳩の声

境内の樹木も盛んに葉を落とし、冬を迎える準備にはいりました。早いもので今年ももうすぐ終わろうとしています。

八幡宮では年間30回以上のお祭りを御本殿で行っていて、元旦の「歳旦祭」というお祭りから始まり、12月23日の「天長祭」が最後となります。この12月23日に全国の神社では今上天皇陛下の御生誕を祝う祭典を行い、皇居では一般参賀が行なわれています。

昭和8年12月23日に昭和天皇の第1皇男子としてご降誕された天皇陛下は、昭和27年11月10日の18歳の時に成年式を行い、皇太子となられました。魚類学者の側面をお持ちで、特にハゼ科の研究にお力を入れられており、論文の発表も精力的になされ、諸外国にも高く評価されています。

昭和64年1月7日の昭和天皇の崩御を受け、第125代天皇に即位され元号を平成と改元されました。

即位後朝見の儀にて「皇位を継承するに当たり、国民とともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、国運の一層の進展と世界の平和、人類福祉の増進を切に希望してやみません。」とのおことばを述べられました。

時代は平成へと移りましたが、地震災害や火山の噴火等自然災害に悩まされることが多く、阪神淡路大震災や東日本大震災等の災害が発生すると、いち早く被災地に駆けつけ被災者に直接お声をかけ励まされました。日本国憲法下で象徴とされた御立場については、常に望ましい在り方を模索されていたようで、この被災地訪問も「天皇の務め」とされ大切に行われ続けていました。

その天皇の務めとは宮中祭祀(元始祭や新嘗祭等)、国事行為、公的行為に分けられていて、国事行為とは内閣総理大臣や裁判所長官の任命、国会の召集、勲章の授与や書類等の押印等様々なことがあります。公的行為には被災地のお見舞いや諸外国への訪問、また全国の式典行事への御参列があり、年間の公務が約270日を数えていて、昭和天皇の時代と比べても大幅に増えています。

今年8月、象徴としてのお務めについての「おことば」があり、その中で大きい外科手術を2度受けられ、また高齢による体力の低下から今後は象徴の務めを果たしていくことが難しくなるだろうと案じられています。皇室についてはこれからも国民と共に未来を築いていけるよう、そして天皇の務めが常に途切れることなく安定的に続いていくことを願われています。

いわゆる「生前退位」と呼ばれたこの問題は、様々議論がなされているのですが、もし天皇を譲位した場合にはどうなるのでしょうか。前例としては太上天皇となり最高の天皇となるのですが、歴史上は上皇と呼ばれ、時代によっては政治的に混乱を招く原因になったこともあるために、皇室典範において「天皇が崩御されたときに皇嗣が直ちに即位する」と限られています。確かに恒久的に「天皇の譲位」がなされるのであれば、上皇の問題や皇位継承についても不安視されますし、なにより陛下の御意思に基づかない退位があり得るのではないかと危惧されます。

しかしながら、長い間祭祀とご公務、また国民にも真摯に向き合ってこられた陛下ではありますが、全身全霊で「象徴」としての務めは果たすことができなければ天皇の地位にあるべきではないとのお考えから、また天皇の崩御により国民がそれぞれ自粛し社会の停滞を招くことは望んでいないことからも、近い将来の譲位を願われておられます。

ことは重大で皇室典範の改正をも検討しなくてはならない難しい問題ですが、無責任な杜の小鳩としては、一刻も早く陛下には御心安らかにお過ごし頂きたいと願っています。

八幡宮Q&A

Q:破魔矢・鏑矢・熊手は正月・松焚祭期間のみ頒布されていますが、それぞれの謂れを教えてください。

A: 【破魔矢(はまや)】
破魔矢の「破魔」は、仏教語からきており邪悪な魔を祓うという意味をもち、わらを円の形に編んだ的のことを「破魔」といいます。一般的な矢のように矢先が鋭くない理由としては、物や人を祓うものではない為、鋭くする必要がないとされています。
かつて、この的を空中に投げて矢で射落とし、一年の占いをする行事が正月に行われていました。この時に使われた弓矢をそれぞれ「破魔矢」「破魔弓」といいます。年月を経て正月の縁起物となり男の子の成長を祈り、弓矢を贈るという風習が江戸時代より生まれ、後に初節句の贈り物になりました。
後に、幸運の縁起物として神社仏閣で頒布されるようになりました。

【鏑矢(かぶらや)】
「鏑矢」を「破魔矢」と同じものと考えている方もいらっしゃると思いますが、大きさにとどまらず意味も違います。破魔矢と異なり矢の先端に蕪(かぶら)と呼ばれるものがついています。特徴として音が鳴るため、戦国時代の両軍の大将が名乗り出た後、上空に向けて戦闘の開始の合図に使われたことが始まりとされています。放った矢が音を鳴らすため、音で魔を祓うとも言われています。
現在は、流鏑馬などの神事で使われることがあり、また飾り矢として一年の新たな一歩を踏み出す方には、鏑矢が適した縁起物と言えるでしょう。

【熊手(くまで)】
この言葉から思い浮かばれるのは、農具として、庭掃除などで使われる熊手を想像する方もいるのではないでしょうか。縁起物の「熊手」もここからきていると言われています。
幸運、金運などの運を掴むという意味で「わしの爪の鷲掴み」という言葉が「運を鷲掴み」と言われるようになり、やがて熊手の爪が鷲の爪になぞらえて 商売繁昌、開運をかき集めると言われるようになりました。
今年のお守りなどを近くの神社などにお納めしてお焚き上げして頂き、新年を迎えて新しい縁起物や御神札、お守り等を受けられてはいかがでしょうか。