国宝 大崎八幡宮
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八幡さま便り

■30号

鳩の声

【写真】八幡さま便り22号 温暖化が叫ばれる中でも木枯らしが吹く正月、初詣・松焚祭で賑わった境内にも春風が桜を咲かせ、透き通るような若葉は立派な青葉に成長し、梅雨の恵の雨を待つ頃となりました。
 私達の心に潤いを与えてくれる我が国の四つの季節は、全ての生命に豊かな恵みをもたらし、その節目節目で行われる年中行事や人生儀礼などとも深く関わっています。
 八幡さまでは毎月1日・15日の「月首祭・月次祭」を始め、春夏秋冬、様々な祭典が行われていますが、5月末の皐月祭、6月30日の「水無月大祓式」の後、8月12日に執り行われる「御鎮座記念祭・雅楽の夕べ」に向けて、雅楽の稽古に励みます。
 この祭典は、本殿での厳粛な儀式の後、浄闇に灯された篝火の仄明かりの中、御本殿前の舞台では雅楽が奉奏され、「管弦」と「御神楽」が奉納されます。
 さて、遡ること四百年前、政宗公は慶長6年(1601年)それまで城を構えていた岩出山から仙台に拠点を移し、和歌を詠まれました。

 入そめて 国ゆたかなる みぎりとや
                千代とかぎらじ せんだいのまつ

(伊達政宗公が仙台開府を祝い、その末永い繁栄を願って詠まれた歌)
仙台市博物館蔵「入そめて」より

 この当時、仙台の地名は「千代」と書いて「せんだい」と呼ばれていました。政宗公はこれを「仙臺(台)」に改めています。開府にあたって、中国の都・長安を詠んだ「同題仙遊観」という漢詩から、「永遠を約束する仙人たちが住む」という地名を、自らが創る国の名に決めたのです。
 豊かな国創りを目指し、城下の平和や末永い繁栄を願った政宗公の熱い眼差しが浮かんでくるようですね。
 八幡さまでは平成18年に御鎮座四百年記念大祭を無事盛大裡に斎行し、この和歌「入そめて」に曲と舞を付け「神楽舞」として御神前で奉奏する準備を進めております。
 歌方は、笏拍子を手に執り、楽器は、太鼓・鞨鼓の打ち物、弾き物は和琴、そして笙・篳篥・龍笛の管楽器を用います。
 雅楽は「平安のオーケストラ」という表現で説明される事があるように、奏楽上それぞれに役割があり、味わい深い音色が楽しめるのが特徴です。特に管楽器である三管、「笙」は「天の声」を表しているとも言われる美しい音色で、合奏の音域をはかる上で要の楽器であり、「篳篥」は豊かな音量と滑らかで美しい高低音で主旋律を担い、「龍笛」は天上にまで響く華麗な音色で彩る働きをします。雅楽だからこそ表現できる世界があり、伝えられる想いがあります。
 四百年前、政宗公がこの地を永住の地と選び、仙台開府を実行するにあたって政治・経済・軍事・外交の拠点である仙台城本丸と並んで、城下の人々の心の拠り所として領国の安寧を得るために建立された大崎八幡宮。その心は慶長の時代も現代も変わることなく受け継がれ、春夏秋冬を通じて様々な行事を育み、人々の崇敬を広く宿す存在になっております。
 新たに揃えた装束も色鮮やかに、詠み手である政宗公に相応しい勇壮な舞を御神前にて奉奏し、八幡さまに喜んで頂けるよう、今日もまた小鳩たちは稽古に励んでいます。


表紙について
例大祭の無事斎行を祈念し、境内に罪穢が入らぬよう9月1日の鳥居祭では三之鳥居に縄が張られますが、9月15日の神幸祭の出幣に先立ち、先達(せんだつ)の手により縄が切られ、神輿の通過の後、参拝者の通行が許されます。


八幡宮Q&A

Q:八幡さまは特に何にご利益があるのでしょうか? また、イヌとイノシシが祀られていると聞いたのですがどこにあるのでしょう・・・

A: ご社頭での御奉仕で最も多い質問の一つです。 仙台では古くから「卦体神」といわれる十二支の生まれ年の神を信仰する風習がありますが、大崎八幡宮は、藩祖伊達政宗公が仙台領と城下繁栄祈願のため城の乾(戌亥・北西)の方角にお祀りしたお宮であることから、昔から「戌亥八幡」と呼ばれ、特に戌歳、亥歳の方の守護神として格別に信仰されてきたという事で、「イヌ」や「イノシシ」をお祀りしているわけではございません。
 当宮の御祭神は、応神天皇、仲哀天皇、神功皇后の三柱をお祀りしておりますが、神功皇后(息長帯姫命)は朝鮮半島に軍船にて遠征した際、お腹に御子を身籠りながらも新羅の国を平定させ、凱旋した後、筑紫国にて応神天皇(誉田別尊)を無事出産なされたことから、古くより八幡様は「武家の守護神」「国家鎮護の神」と共に「安産の神」として尊崇されてまいりました。そして時代の変遷と共に大分の宇佐神宮より京都の石清水八幡宮、鎌倉の鶴岡八幡宮へと勧請され、全国津々浦々へと浸透して行ったのです。
 当宮でも、奉納された大絵馬や篇額等より、歴代の仙台藩候はもとより、仙台城下の人々にいたるまで「武門」また「戦」の守護神として崇められてきたことがよくわかります。
 現代においても仙台市民はじめ数多の崇敬者より心のよりどころとして仰がれている八幡さまですが「運動競技の必勝」や「安産」は勿論、人生や仕事を勝負事と考え「厄祓い」「商売繁盛」「受験合格」等の神として沢山の方々にお参り頂いております。

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